このブログは、関西の小劇場系劇作家でもあるGockyが、少し怪しい感じの短編を、思い付くまま20文字10行でまとめあげる、ブログです。原稿用紙の半分、たったの200文字。詩と考えても短い200文字。思いのほかハードルは高く、難しいですが、ショートショート作品集としてお楽しみいただければ幸いです。
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家賃が妙に安かった。よくある話。
前の住人が亡くなっていた。よくある話。
寂しがりやの女の子だった。
それもよくある話。
騙されやすい性質だったんだ。
それもよくある話。
フローリングの隅に書かれた、
彼女の寂しい叫びを見つけた。
夜、寝ている僕の手に誰かが触れる。
僕はその手を、握りかえした。
前の住人が亡くなっていた。よくある話。
寂しがりやの女の子だった。
それもよくある話。
騙されやすい性質だったんだ。
それもよくある話。
フローリングの隅に書かれた、
彼女の寂しい叫びを見つけた。
夜、寝ている僕の手に誰かが触れる。
僕はその手を、握りかえした。
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大荷物すぎやしないか?
待ち合わせに遅れてやって来た彼女の、
沢山の大きなバッグを見て僕はそう思った。
彼女は暗く心許なげな瞳で僕を見つめる。
白い肌の、あちこちに出来た痣が痛々しい。
暴力的な夫の手を逃れ、二人で遠くの町へ。
二度とは戻れない、一本道の逃避行。
しかしそれにしても大荷物過ぎやしないか?
「……スコップも持ってくれば良かった」
血の気配を拭いながら、彼女はつぶやいた。
待ち合わせに遅れてやって来た彼女の、
沢山の大きなバッグを見て僕はそう思った。
彼女は暗く心許なげな瞳で僕を見つめる。
白い肌の、あちこちに出来た痣が痛々しい。
暴力的な夫の手を逃れ、二人で遠くの町へ。
二度とは戻れない、一本道の逃避行。
しかしそれにしても大荷物過ぎやしないか?
「……スコップも持ってくれば良かった」
血の気配を拭いながら、彼女はつぶやいた。
彼岸花は、死人花、地獄花などとも呼ばれ、
日本では不吉と考えられる事が多い。
何故だろうかと考えていた。
球根に、強い毒を持つからだろうか。
それとも、この鮮やかにすぎる、
火のように、燃える、赤のせいか。
彼女の骸を、一面の彼岸花の中に横たえる。
彼女の白は赤い海原に浮いているようで、
光の加減か、彼女の頬は淡い桃色に染まり、
今にも蘇りそうで。 悲しい赤。
日本では不吉と考えられる事が多い。
何故だろうかと考えていた。
球根に、強い毒を持つからだろうか。
それとも、この鮮やかにすぎる、
火のように、燃える、赤のせいか。
彼女の骸を、一面の彼岸花の中に横たえる。
彼女の白は赤い海原に浮いているようで、
光の加減か、彼女の頬は淡い桃色に染まり、
今にも蘇りそうで。 悲しい赤。
★ 最新コメント
★ プロフィール
HN:
Gocky
HP:
性別:
男性
職業:
演劇人兼デザイナー
自己紹介:
「HQ BRAIN」フリーグラフィックデザイナー。
表現ユニット「シナツヒコ」代表。演劇集団はいてっくくねくね元代表。
表現ユニット「シナツヒコ」代表。演劇集団はいてっくくねくね元代表。