このブログは、関西の小劇場系劇作家でもあるGockyが、少し怪しい感じの短編を、思い付くまま20文字10行でまとめあげる、ブログです。原稿用紙の半分、たったの200文字。詩と考えても短い200文字。思いのほかハードルは高く、難しいですが、ショートショート作品集としてお楽しみいただければ幸いです。
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この世界の全てが無くなってしまった。
全てが真っ白の世界。
空も、地面も、……いや、
どちらが上かも、下かも分からない。
太陽の光も、夜の闇も、人々のざわめきも、
僕の大好きなあのコも消えてしまった。
ポケットを探ると、一本のボールペン。
ここから全てを、始められやしないか?
目の前に、僕は一本の線を引く。
この世界の全てが無くなってしまった。
全てが真っ白の世界。
空も、地面も、……いや、
どちらが上かも、下かも分からない。
太陽の光も、夜の闇も、人々のざわめきも、
僕の大好きなあのコも消えてしまった。
ポケットを探ると、一本のボールペン。
ここから全てを、始められやしないか?
目の前に、僕は一本の線を引く。
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彼女は雨の降る日が好きだった。
晴れた日、いつも彼女は涙を流していた。
不思議に思って、僕は彼女に理由を聞いた。
「人が死んで行くのが聞こえてしまうの。」
と彼女は答えた。
世界中の、人が死ぬ時の微かな息の音が、
雨の日は雨音に紛れて聞こえなくなるから、
だから彼女は、雨が好きなんだと言った。
僕は彼女が大好きだったから、
僕が死ぬのは、晴れた日がいいと思った。
晴れた日、いつも彼女は涙を流していた。
不思議に思って、僕は彼女に理由を聞いた。
「人が死んで行くのが聞こえてしまうの。」
と彼女は答えた。
世界中の、人が死ぬ時の微かな息の音が、
雨の日は雨音に紛れて聞こえなくなるから、
だから彼女は、雨が好きなんだと言った。
僕は彼女が大好きだったから、
僕が死ぬのは、晴れた日がいいと思った。
「ねえ、隣の家のお嬢さん、知ってる?」
妻は突然、そう切り出した。
「この間、話している時に見たんだけど、
とても可愛いピンク色の爪をしているの。
宝石みたいに。ねえ聞いてる?」
また、いつものおねだりだ。
分かってはいるのだが、私は妻に尋ねる。
「どうしたいんだい?」
「……ペンダントトップに。」
そう言って、妻はいつものように笑う。
妻は突然、そう切り出した。
「この間、話している時に見たんだけど、
とても可愛いピンク色の爪をしているの。
宝石みたいに。ねえ聞いてる?」
また、いつものおねだりだ。
分かってはいるのだが、私は妻に尋ねる。
「どうしたいんだい?」
「……ペンダントトップに。」
そう言って、妻はいつものように笑う。
★ 最新コメント
★ プロフィール
HN:
Gocky
HP:
性別:
男性
職業:
演劇人兼デザイナー
自己紹介:
「HQ BRAIN」フリーグラフィックデザイナー。
表現ユニット「シナツヒコ」代表。演劇集団はいてっくくねくね元代表。
表現ユニット「シナツヒコ」代表。演劇集団はいてっくくねくね元代表。